数学2

直線の通過領域

直線の通過領域

今日は直線の通過領域について基本から学習します。
あっ、これ難しいやつ…

問題

問題

$t$ を実数とする。直線 $l:y=-2(t+1)x+t^{2}+1$ について、次の問いに答えよ。

(1) $l$ が $(0,1)$ を通るような実数 $t$ の値を求めよ。

(2) $l$ が $(-2,1)$ を通るような実数 $t$ が存在するかを調べよ。

(3) $t$ が実数全体を動くとき、$l$ の通過する領域を図示せよ。

今回は誘導付きで丁寧に小問を付けていますが、実際は(3)のみがあるのが普通です。
(3)はよくわからないですが、(1)(2)は普通にいけそうです!

(1)の解答

(0,1)を通るから、$y=-2(t+1)x+t^{2}+1$ に $(0,1)$ を代入して…

$1=0+t^{2}+1$

$t^{2}=0$

$t=0$ です!
OKです。念のため、問題の設定を確認しておきます。

$t$ の値を色々変えると、直線は様々に変わります。

例えば $t=-2$ とするとこう。

$y=2x+5$

$t=3$ とするとこう。

$y=-8x+10$

$t=0$ とするとこう。

$y=-2x+1$

確かに $t=0$ のときに $(0,1)$ を通っていますね!

(2)の解答

$(-2,0)$ を通るとすると、$y=-2(t+1)x+t^{2}+1$ に $(-2,0)$ を代入して…

$0=-2(t+1)(-2)+t^{2}+1$

$t^{2}+4t+5=0$

これを解くと…

…いや、解けないですね。

解けない」とはこの場合どういう意味ですか?
あ、実数解をもたないということです。
どうやって判断できましたか?
判別式から、

$D=4^{2}-4\cdot5<0$

だからです!

そのとおりですね。
ということで、$(-2,1)$ を通るような実数 $t$ は存在しない、です!

(3)の解答

さて、ここまで来ると(3)の意味が理解できますか?

直線が通過する領域を調べるとは、直線が通るか通らないかを調べるということです。

つまり、$D$ が $0$ 以上かどうかを調べる、ということですね!
そういうことです。

$y=-2(t+1)x+t^{2}+1$ が、ある点 $(x,y)$ を通るかどうかを調べましょう。

$(-2,1)$ を通るかなら、$(x,y)$ に $(-2,1)$ を代入して考えたので…
$(x,y)$ に $(x,y)$ を代入して考えるのです。
$(x,y)$ に $(x,y)$ を代入…?
代入している $(x,y)$ は、$y=-2(t+1)x+t^{2}+1$ の式の上の $x,y$ とは別のものということに注意が必要ですね。

直線が点 $(-2,1)$ を通るかを調べるのと同様に、直線が点 $(x,y)$ を通るかを調べるのです。

なるほど…
代入すると $y=-2(t+1)x+t^{2}+1$ となって…

(見かけ上なにも変わらないけど、代入している…)

そのあとは判別式を考えましたね。$t$ の $2$ 次方程式だと見たのです。
ということは、$t$ について整理して…

$t^{2}-2xt-2x-y+1=0$

この判別式が $0$ 以上なら、実数解があるということですね。
ということはつまり…
$t$ を色々動かしたうちのどこかの実数 $t$ のときに、点 $(x,y)$ を通るということです!

$\dfrac{D}{4}=x^{2}-(-2x-y+1)≧0$

$y≧x^{2}+2x-1$

$y≧\left(x+1\right)^{2}+2$

この条件をみたす $(x,y)$ が、直線がいずれかの $t$ で通る点、ということになります。

求める領域は図の灰色部。境界線を含む。

ちなみにですが、$t$ を色々かえた直線をたくさんかくと、下のようになります。
これは-5から5まで0.1刻みで直線をかいたものです。もっと細かく、広くとれば領域全体が塗りつぶされるようになります。
確かに通る領域はあっていそうですね!
とりあえずここまでが通過領域の基本です。
$(x,y)$ は実は代入している…

ここが難しいですね…

この次はもう少し難易度をあげた問題に挑戦することにしましょう。
ABOUT ME
e-yobi
北海道大学工学研究科 修士課程修了。 専門は複雑系における物理現象。 大学卒業後は商社でネットワークエンジニアとして働いていました。 4年で退職し、教員免許を取得。 公立高校・私立高校の教員を経て、現在は関西で予備校講師をしています。