三角関数

三角関数の計算(積和公式の利用)

積和公式を利用する問題を解いてみましょう。

問題

空欄を埋めよ。

$\dfrac{1}{2}\sin\dfrac{x}{2}+\displaystyle \sum_{k=1}^{n}\left\{ \cos(kx)\sin\dfrac{x}{2}\right\} =\dfrac{1}{2}\sin\left(\boxed{   }\right)x$

積和公式による変形

まずはシグマの中身を簡単にしましょう。

積和公式で変換すると、

$\cos(kx)\sin\dfrac{x}{2}=\dfrac{1}{2}\left\{ \sin\left(k+\dfrac{1}{2}\right)x-\sin\left(k-\dfrac{1}{2}\right)x\right\}$

となります。

積和公式はどれを使うか、どれを導くかを選ばないといけないですよね。どうやって考えたらいいんですか?
$\cos$ と $\sin$ の積ですからね。『コスモスさいた』の $\sin$ の加法定理を足し引きすることになりますね。

$\sum$ の解消(和の中抜け)

$\displaystyle \sum_{k=1}^{n}\dfrac{1}{2}\left\{ \sin\left(k+\dfrac{1}{2}\right)x-\sin\left(k-\dfrac{1}{2}\right)x\right\}$

を順番に書き下していくと、

$\dfrac{1}{2}\left\{ \sin\dfrac{3}{2}x-\sin\dfrac{1}{2}x\right\}$
$+\dfrac{1}{2}\left\{ \sin\dfrac{5}{2}x-\sin\dfrac{3}{2}x\right\}$
$+\dfrac{1}{2}\left\{ \sin\dfrac{7}{2}x-\sin\dfrac{5}{2}x\right\} …$

$……$
$+\dfrac{1}{2}\left\{ \sin\left(n+\dfrac{1}{2}\right)x-\sin\left(n-\dfrac{1}{2}\right)x\right\}$

となります。

あ、消えていくやつですね!部分分数分解でやりましたね!
通称、『和の中抜け』です。

つまり

$\displaystyle \sum_{k=1}^{n}\dfrac{1}{2}\left\{ \sin\left(k+\dfrac{1}{2}\right)x-\sin\left(k-\dfrac{1}{2}\right)x\right\}$

$=\dfrac{1}{2}\left\{ -\sin\dfrac{1}{2}x-\sin\left(n+\dfrac{1}{2}\right)x\right\}$

となります。

結論

$\dfrac{1}{2}\sin\dfrac{x}{2}+\displaystyle \sum_{k=1}^{n}\left\{ \cos(kx)\sin\dfrac{x}{2}\right\}$

$=\dfrac{1}{2}\sin\dfrac{x}{2}+\dfrac{1}{2}\left\{ -\sin\dfrac{1}{2}x-\sin\left(n+\dfrac{1}{2}\right)x\right\}$

$=\dfrac{1}{2}\sin\left(n+\dfrac{1}{2}\right)x$

これで解けましたが、こういう解法ってどうやって思いつくものなんでしょうか…
それについて詳しくは別の機会にお話ししましょう。(『「解法を思い付く」とは』)
ABOUT ME
e-yobi
北海道大学工学研究科 修士課程修了。 専門は複雑系における物理現象。 大学卒業後は商社でネットワークエンジニアとして働いていました。 4年で退職し、教員免許を取得。 公立高校・私立高校の教員を経て、現在は関西で予備校講師をしています。