数学A

条件付き確率

条件付き確率の定義式がこうであることは知っているんですが、イメージがつかみにくいんです…
条件付き確率の定義

Aである条件でBとなる確率
$$P_A(B)=\frac{P(A\cap B)}{P(A)}$$

定義式について考える前に、簡単な例から順に考えていきましょう。

条件付き確率の例

問題

サイコロ1個を投げたとき、出た目が4以上である条件で、その目が偶数である確率を求めよ。

サイコロ1個を投げるとき、普段は分母を6としますよね。しかし条件付き確率は分母が変わります
問題文を見てみましょう。

サイコロ1個を投げたとき、出た目が4以上である条件でその目が偶数である確率を求めよ。

第1の条件が黄色い下線部、第2の条件が青い下線部です。

第1の条件をみたしたうちの、第2の条件もみたすものの割合を求めるのが条件付き確率です。

というと…
第1の条件、出た目が4以上をみたすのは何通りですか?
4,5,6の3通りです。
そのうちその目が偶数であるのは何通りですか?
4,6の2通りです。
よって求める条件付き確率は

3通りのうち2通り、つまりこうなります。

出た目が4以上である条件で、その目が偶数である確率は
$$\dfrac{2}{3}$$

…そういうことですか…考え方は簡単なんですね…
もう少し複雑な例を考えてみましょう。
問題

サイコロを2個投げる。目の合計が6以下である条件で、目の積が4以下である条件付き確率を求めよ。

サイコロ2個だけど、分母は36ではないってことですよね。

まず第1の条件と第1の条件を確認しておきましょう。

目の合計が6以下が第1の条件で、目の積が4以下が第2の条件ですね。

第1の条件をみたすのは何通りですか?

「目の合計が6以下」だから…

(1,1)(1,2)(1,3)(1,4)(1,5)

(2,1)(2,2)(2,3)(2,4)

(3,1)(3,2)(3,3)

(4,1)(4,2)

(5,1)

15通りあります。これが分母ですね!
ではそのうち積が4以下なのは何個ですか?

(1,1)(1,2)(1,3)(1,4)

(2,1)(2,2)(3,1)(4,1)

8個です!

よって求める条件付き確率は、$$\dfrac{8}{15}$$

式の立て方、理解しました!

条件付き確率の定義(その1)

今まで見てきたように、

Aである条件でBである条件付き確率は

分母は、第1の条件Aをみたす場合の数 $n$(A)

分子は、さらにそのうちBである場合の数 $n($A$\cap$ B)

と計算すればよいです。

($n$は、number「個数」の意味です)

「AであるうちさらにB」だから「AかつB」なんですね!

ですから条件付き確率の定義はこうです。

条件付き確率の定義

Aである条件でBとなる確率
$$P_A(B)=\frac{n(A\cap B)}{n(A)}$$

(もちろん、すべての場合が同様に確からしいことが条件です。)

条件付き確率の定義(その2)

条件付き確率の定義には上の式と違うもう1つの表記があります。
…はい、上の式は、僕の知ってるのとちょっと違うんですよね…
上で書いた定義は$$\frac{(場合の数)}{(場合の数)}$$という形をしていますが、分母分子を全事象の数で割って、$$\frac{(確率)}{(確率)}$$と書き換えることができます。

例えば上の例題でいうと、場合の数を36で割って、

目の合計が6以下である確率は$\frac{15}{36}$

目の積が4以下である確率は$\frac{8}{36}$

なので、求める条件付き確率は

$$\frac{\frac{8}{36}}{\frac{15}{36}}=\frac{8}{15}$$

です。分母分子を同じもので割っているだけなので、当然結果は同じものになります。

条件付き確率のもう1つの定義はこうです。

条件付き確率の定義

Aである条件でBとなる確率
$$P_A(B)=\frac{P(A\cap B)}{P(A)}$$

(「P」は確率の意味です。)

これが僕の知ってたやつです!

確率型の定義の利用

問題

A,B,2種類の袋がある。Aの袋には赤玉2個、白玉3個が、Bの袋には赤玉3個、白玉4個が入っている。A,Bの袋から無作為に一つの袋を選び玉を1個取り出したところ赤玉であった。選んだ袋がAであった確率を求めよ。

では確率を使った定義式で条件付き確率を求めてみましょうか。

まず、分母と分子が何になるかを考えましょう。

「第1の条件」「第2の条件」がそれぞれ何になるかです。

分母が「赤玉を取り出す」で…

分子は「Aから赤玉を取り出す」ですね!

OKです。分母が「赤玉を取り出す」は、「(AからでもBからでもいいから)赤玉を取り出す確率」ですね。

$$\frac{Aから赤玉を取り出す確率}{(AからでもBからでもいいから)赤玉を取り出す確率}$$

つまり分母は(Aから赤玉)+(Bから赤玉)なので…

分母: $\dfrac{1}{2}$×$\dfrac{2}{5}+\dfrac{1}{2}$×$\dfrac{3}{7}$

Aを選ぶ確率が$\dfrac{1}{2}$、赤玉を取り出す確率が$\dfrac{2}{5}$… って感じで式をたてたらいいですね。
そのうち、「Aから赤玉を取り出す」のが分子…

分子: $\dfrac{1}{2}$×$\dfrac{2}{5}$

ということは、求める確率は、こうです!

$\dfrac{\dfrac{1}{2}×\dfrac{2}{5}}{\dfrac{1}{2}×\dfrac{2}{5}+\dfrac{1}{2}×\dfrac{3}{7}}$

$=\dfrac{14}{14+15}$

$=\dfrac{14}{29}$

確率の純度としての条件付き確率

さっきの例では、赤玉を取り出すにも可能性は大きく分けて2つあり、
①「Aから赤玉を出す」
②「Bから赤玉を出す」
のいずれかでした。

赤玉を出す確率のうち、①であるものの割合(占有率)はどれだけか?」

というのが、上の問題の意味であったのです。

①の確率 $\dfrac{1}{2}$×$\dfrac{2}{5}=\dfrac{1}{5}$

②の確率 $\dfrac{1}{2}$×$\dfrac{3}{7}=\dfrac{3}{14}$

よって、赤玉を出す確率のうち、①であるものの割合は

$\dfrac{①}{①+②}$
$=\dfrac{\dfrac{1}{5}}{\dfrac{1}{5}+\dfrac{3}{14}}$

と式を立てたらよいのです。まるで、純度計算をしているような感覚です。
純度計算…?
銅50gとニッケル150gで合金を作ったとして、銅の純度は何%ですか?
ああ!
$\dfrac{50}{50+150}$

だから、25%です!確かに考え方、似てます!

そういうことですか!

そういうことです。
ABOUT ME
e-yobi
北海道大学工学研究科 修士課程修了。 専門は複雑系における物理現象。 大学卒業後は商社でネットワークエンジニアとして働いていました。 4年で退職し、教員免許を取得。 公立高校・私立高校の教員を経て、現在は関西で予備校講師をしています。