数学A

条件付き確率の演習

条件付き確率

条件付き確率の標準的な入試問題を解いてみましょう。

分からなくなったら、条件付き確率の基本に戻って考えてください。

条件付き確率 条件付き確率の例 サイコロ1個を投げたとき、出た目が4以上である条件で、その目が偶数である確率を求...

問題

問題

はじめに赤玉と白玉が2個ずつ入った袋に、次の試行を繰り返す。

(i) まず同時に2個の玉をとり出す。

(ii)  取り出した2個の玉が同色なら取り出した2個を袋に戻し、色違いなら赤玉2個を袋に入れる。

(iii) 最後に白玉1個を袋に追加してかき混ぜる

これで1回の試行を終わる。

$n$ 回の試行が終わった時点での袋の中の赤玉の個数を $X_{n}$ とする。

$X_{2}=3$ であったとき、$X_{1}=3$ である条件付き確率を求めよ。

(北海道大・誘導省略)

けっこう難しそう…
まずは、求めるべきものを整理しておきましょう。

条件付き確率の定義の確認

分母と分子が何になるかを考えます。

条件付き確率の定義です。

「$X_{2}=3$ である条件で $X_{1}=3$」、なので、

分母は「$X_{2}=3$」、分子は「$X_{2}=3$ かつ $X_{1}=3$」ですね。

$$\dfrac{P(X_{2}=3 \cap X_{1}=3)}{P(X_{2}=3)}$$

こういう式を立てたらいいです!
まず、$X_{2}=3$ とはどういうことでしたか?
「2回の試行が終わって袋の中に赤玉が3個ある」ですね。
はじめは袋に赤玉は2個あったわけですが、途中で1個増えたということですね。
ですね。
分子のうち、「$X_{1}=3$」はどういう意味ですか?
「1回の試行が終わって袋の中に赤玉が3個ある」ですね。
それぞれについて、順に考えていきましょう。

ルールの確認

まず、袋の中の赤玉が増えるのはどういうときですか?
えっと…ルールを読むと…
「色違いを取り出したときは、赤玉2個入れる」なので、色違いを取り出したときに赤玉が1個増えますね!
OKです。ちなみにそのとき、白玉はどうなりますか?
赤玉2個に入れ替えるので白玉はいったん1個減りますけど、(iii)で1個増えるので変化なしですね。
逆に、同色を取り出したときはどうですか?
そのまま戻すので、赤玉の個数に変化はありませんね。

(iii)で白玉が増えるだけです!

整理しておくと、

色違いを取り出したときは赤玉だけが1つ増える

同色を取り出したときは白玉だけが1つ増える

ですね。

個々の確率の計算

$X_{1}=3$ となる確率

では、$X_{1}=3$ となる確率から考えてみましょう。

「1回の試行が終わって袋の中に赤玉が3個ある」ですから、赤玉が1個増えたということです。

どんな玉を取り出したはずですか?

「色違い」の玉だったはずです!赤が増えてるので!
その通りですね。では「色違い」を取り出す確率は?
赤白をとる確率なので…

$\dfrac{2\cdot2}{_{4}{\rm C}_{2}}=\dfrac{2}{3}$

です!
そうですね。ではこれは覚えておいて、次は $X_{2}=3$ となる確率を求めましょう。

$X_{2}=3$ となる確率

$X_{2}=3$ ということは、「2回の試行が終わって袋の中に赤玉が3個ある」ですね!
「2回の試行が終わって袋の中に赤玉が3個ある」には、大きく分けて可能性は2つありませんか?

赤玉が増えたのはいつであるかで…

えっと、「1回目で赤玉が増える」か、「2回目で赤玉が増える」ですね…
ではまず、「1回目で赤玉が増える」場合の確率を求めてください。

1回目で赤玉が増える場合

「1回目で赤が増えて2回目に赤は増えない」…ですね。

「1回目は色違い、2回目に同色」だから…

1回目に赤白をとるから、確率はさっき求めた

$\dfrac{2}{3}$

…からの、2回目に同色を出すのが…

$\dfrac{_{3}{\rm C}_{2}}{_{5}{\rm C}_{2}}+\dfrac{_{2}{\rm C}_{2}}{_{5}{\rm C}_{2}}=\dfrac{3+1}{10}=\dfrac{2}{5}$

2回目は玉が5個に増えていることに注意ですね。
だから、「1回目で赤玉が増える」場合の確率はこうです!

$\dfrac{2}{3}\cdot\dfrac{2}{5}=\dfrac{4}{15}$

OKです。
では次に、「2回目で赤玉が増える」場合の確率を求めましょう。

2回目で赤玉が増える

「1回目では赤は増えず、2回目に赤が増える」…ですね。

「1回目は同色、2回目に色違い」…

今度は一気に式を立てちゃいますね!

$\left(\dfrac{_{2}{\rm C}_{2}}{_{4}{\rm C}_{2}}+\dfrac{_{2}{\rm C}_{2}}{_{4}{\rm C}_{2}}\right)\cdot\dfrac{2\cdot3}{_{5}{\rm C}_{2}}=\dfrac{1}{3}\cdot\dfrac{6}{10}=\dfrac{1}{5}$

これが「2回目で赤玉が増える」場合の確率です!

条件付き確率の立式

そろそろ核心に迫ってきましたよ。求めるべきは、

$$\dfrac{P(X_{2}=3 \cap X_{1}=3)}{P(X_{2}=3)}$$

でしたね。
ということは、分母の $X_{2}=3$ となる確率は、

「1回目で赤玉が増える」と「2回目で赤玉が増える」の和で…

$\dfrac{4}{15}+\dfrac{1}{5}$

分子の $X_{2}=3$ かつ $X_{1}=3$ となるのは、

「1回目で赤玉が増える」の方の…

$\dfrac{4}{15}$

だから、求める条件付確率は、こうです!

$\dfrac{\dfrac{4}{15}}{\dfrac{4}{15}+\dfrac{1}{5}}=\dfrac{4}{4+3}=\dfrac{4}{7}$

バッチリです。

答案

最後に答案にまとめておきます。

色違いを取り出したときは赤玉だけが1つ増え、

同色を取り出したときは白玉だけが1つ増えるから、

$X_{2}=3$ となるのは

(A)「1回目は色違い、2回目に同色」

または

(B)「1回目は同色、2回目に色違い」

のときである。

(A) の確率は

$\dfrac{2\cdot2}{_{4}{\rm C}_{2}}\left(\dfrac{_{3}{\rm C}_{2}}{_{5}{\rm C}_{2}}+\dfrac{_{2}{\rm C}_{2}}{_{5}{\rm C}_{2}}\right)=\dfrac{2}{3}\cdot\dfrac{2}{5}=\dfrac{4}{15}$

(B) の確率は

$\left(\dfrac{_{2}{\rm C}_{2}}{_{4}{\rm C}_{2}}+\dfrac{_{2}{\rm C}_{2}}{_{4}{\rm C}_{2}}\right)\cdot\dfrac{2\cdot3}{_{5}{\rm C}_{2}}=\dfrac{1}{3}\cdot\dfrac{6}{10}=\dfrac{1}{5}$

$X_{2}=3$ かつ $X_{1}=3$ であるのは、上の(A)のときである。

よって求める確率は

$\dfrac{P(X_{2}=3 かつ X_{1}=3)}{P(X_{2}=3)}$

$=\dfrac{\dfrac{4}{15}}{\dfrac{4}{15}+\dfrac{1}{5}}=\dfrac{4}{4+3}=\dfrac{4}{7}$

答案にすると短い!
ABOUT ME
e-yobi
北海道大学工学研究科 修士課程修了。 専門は複雑系における物理現象。 大学卒業後は商社でネットワークエンジニアとして働いていました。 4年で退職し、教員免許を取得。 公立高校・私立高校の教員を経て、現在は関西で予備校講師をしています。