微分

次数下げによる極値計算

※スマホの場合、横向きを推奨

次の問題を解いてみてください。

ちょっとした罠が仕掛けてあります。

問題

問題

$f(x)=2x^{3}+9x^{2}-6x$ の極小値を求めよ。

こんなのは余裕ですよ。増減表を書いたらいいんですよね!

極値をとる $x$ の値を求める

まずは微分して…

$f'(x)=6x^{2}+18x-6$

だから、$f'(x)=0$となるのは…

$x=\dfrac{-3\pm\sqrt{13}}{2}$

極小値をとるのは、$x=\dfrac{-3+\sqrt{13}}{2}$のとき…

だから極小値は…

$f\left(\dfrac{-3+\sqrt{13}}{2}\right)$$=2\left(\dfrac{-3+\sqrt{13}}{2}\right)^{3}+9\left(\dfrac{-3+\sqrt{13}}{2}\right)^{2}-6\left(\dfrac{-3+\sqrt{13}}{2}\right)$

えっと、これは…

代入計算の工夫

…これを計算するんですか…!?
ちょっと面倒ですね。
かなり面倒です!
まあこの程度なら力技で計算してしまう生徒も多いのですが…

計算ミスを防ぐために、ここでは次数下げの方法を利用しましょう。

次数下げ…
まず、何が面倒かというと、

$$f(x)=2x^{3}+9x^{2}-6x$$

$f(x)$↑に代入しないといけないことです。

代わりに、$f'(x)$↓に代入ならどうですか?

$$f'(x)=6x^{2}+18x-6$$

$f'(x)$ に代入ですか?

2次式なので、ちょっと楽ではありますけど…

いやいや、そういう話ではありません。

$x=\dfrac{-3+\sqrt{13}}{2}$ は、極値をとる $x$ ですよ。導関数の値はどうなりますか?

極値をとるから…
…あっ、極値をとる $x$ を代入したら、導関数の値は $0$ です!

$f’\left(\dfrac{-3+\sqrt{13}}{2}\right)$

$=6\left(\dfrac{-3+\sqrt{13}}{2}\right)^{2}+18\left(\dfrac{-3+\sqrt{13}}{2}\right)-6$

$=0$

こういうことですね。
確かに、$f'(x)$ に代入するのは簡単です。

結果は0と分かっているんですね!

$2x^{3}+9x^{2}-6x$ に代入するのは面倒ですが、$6x^{2}+18x-6$ に代入すれば $0$ になるのは当たり前のことです。

さらに、$f'(x)$ を $6$ で割った $x^{2}+3x-1$ に入れても $0$ であることも分かりますね。

割り算による変形

でも実際に代入するのは $f(x)$ にですよね…
そこで、割り算による式変形をするのです。

$x^{2}+3x-1$ が式の中にでてきて欲しいわけですから、

$2x^{3}+9x^{2}-6x$ を $x^{2}+3x-1$ で割って…

筆算します!(カキカキ…)
(カキカキ…)

$2x^{3}+9x^{2}-6x$ を $x^{2}+3x-1$ で割ると、

商が $2x+3$ 、余りが $-13x+3$ です!

OKです。こういうことですね。

$$f(x)=(x^{2}+3x-1)(2x+3)-13x+3$$

余りへの代入

$x^{2}+3x-1$ に $\dfrac{-3+\sqrt{13}}{2}$ を代入しても0だから…余りだけに代入すればいいんですね!

$f\left(\dfrac{-3+\sqrt{13}}{2}\right) $

$=-13\left(\dfrac{-3+\sqrt{13}}{2}\right)+3$
$=\dfrac{45}{2}-\dfrac{13\sqrt{13}}{2}$

これが極小値です!
ABOUT ME
e-yobi
北海道大学工学研究科 修士課程修了。 専門は複雑系における物理現象。 大学卒業後は商社でネットワークエンジニアとして働いていました。 4年で退職し、教員免許を取得。 公立高校・私立高校の教員を経て、現在は関西で予備校講師をしています。