数学A

循環小数の分数表示

循環小数の分数化

問題

$0.\dot{3}\dot{6}$を分数で表せ。

循環小数の分数化の方法3種

循環小数を分数で表すのは定番の問題ですが、その方法として3種類紹介します。

方法1 100倍して引く

教科書に載っている最も定番の方法です。

解答

$x=0.\dot{3}\dot{6}$ ……① とおく。

両辺に100をかけて

$100x=36.\dot{3}\dot{6}$ ……②

②-①より、

$99x=36$ となるので、

$x=\dfrac{4}{11}$

方法2 無限等比級数と見る

極限が使えるなら、次の方法でもいいでしょう。

$0.36363636…$

$=0.36+0.0036+0.000036+…$

これは初項 $0.36$、公比 $\dfrac{1}{100}$ の無限等比級数なので、

$\dfrac{0.36}{1-\frac{1}{100}}=\dfrac{36}{99}=\dfrac{4}{11}$

これは結構分かりやすいです!
理系君にはお手軽かもしれませんね。

方法3 $\frac{1}{99}$ を考える

分かってしまえばとてもシンプルな方法です。

受験科目がⅠAのみの人に特におすすめの方法です。

$0.\dot{0}\dot{1}=\dfrac{1}{99}$ なので、

$0.\dot{3}\dot{6}=\dfrac{36}{99}=\dfrac{4}{11}$ (解答終わり)

えっ。終わりですか?
以上です。とても早い。
いきなり $0.\dot{0}\dot{1}=\dfrac{1}{99}$ って書いてありますが…どういうことですか?
循環の長さが $2$ なので、$0.\dot{0}\dot{1}$ という基本の形を作りたい気持ちは分かりますか?
基本の形…

$0.\dot{0}\dot{1}$ さえ出来てしまえば、循環の長さが $2$ の循環小数は全て作れるということです。

この問題でいうと、$0.\dot{3}\dot{6}$ を作るには36倍すればいいという。

あ、それは分かります。
あとは $0.\dot{0}\dot{1}$ をいかに分数で表すか、ということですが…まず準備をしましょう。
準備…

$\dfrac{1}{3}=0.3333…$ですよね。

はい、そうですね…(それが何だと…)

これは3倍すると、$1=0.\dot{9}$ となります。

これで言いたいことは、循環小数を変形して $0.\dot{9}$ を作れたなら、それは $1$ と等しいと考えていいということです。

あ、それ悩んだことあります。

どこまで行っても $1$ にはならないけど、無限に続くなら $1$、ってことですね。

そんな感じです。

$\dfrac{1}{3}=0.3333…$だってイコールで結ばれていますが、どこまで3を書き続けても本当に等しくなることはないですよね。無限に続くなら等しいということです。

「無限」については哲学的問題を孕んでおり、高校生が学ぶ数学で簡単に説明することが難しいです。

今は曖昧な理解で問題ありません。

じゃあ、$0.\dot{0}\dot{1}$ を変形して $1$ (つまり $0.\dot{9}$ )を作ってみましょう。
あっ、99倍すれば、$0.\dot{9}\dot{9}$、つまり $0.\dot{9}$ になりますね!

つまり…

$0.\dot{0}\dot{1}×99=0.\dot{9}=1$

$0.\dot{0}\dot{1}=\dfrac{1}{99}$

ということですね!

あとはこれの両辺を36倍すれば

$0.\dot{3}\dot{6}=\dfrac{36}{99}$

となって終了です。

練習問題

では具体的な問題を解いてみましょう。

問題

$0.2\dot{3}\dot{6}$ を分数で表せ。

方法1は教科書通りですから、ここでは方法2と方法3で解いてみましょう。

方法2で解く

$0.2\dot{3}\dot{6}$

$=0.2+0.036+0.00036+0.0000036…$

ここで初項 $0.036$、公比 $\dfrac{1}{100}$ の無限等比級数は

$\dfrac{0.036}{1-\dfrac{1}{100}}=\dfrac{36}{1000-10}=\dfrac{36}{990}=\dfrac{2}{55}$

なので

$0.2\dot{3}\dot{6}=\dfrac{1}{5}+\dfrac{2}{55}$

$=\dfrac{11}{55}+\dfrac{2}{55}$

$=\dfrac{13}{55}$ …(答え)

方法3で解く

$0.2\dot{3}\dot{6}=0.2+0.0\dot{3}\dot{6}$

$=\dfrac{1}{5}+0.\dot{3}\dot{6}÷10$

$0.\dot{3}\dot{6}÷10$ …?
$0.0\dot{3}\dot{6}$ の桁を一つずらしたのです。
計算を続けると、

$=\dfrac{1}{5}+0.\dot{3}\dot{6}÷10$

$=\dfrac{1}{5}+\dfrac{36}{990}$

$0.\dot{3}\dot{6}=\dfrac{36}{99}$ を使ったんですね!
慣れた人なら、いきなり $\dfrac{1}{5}+\dfrac{36}{990}$ の式を立てるでしょう。

あとは通分して、

$=\dfrac{11}{55}+\dfrac{2}{55}$

$=\dfrac{13}{55}$ …(答え)

ABOUT ME
e-yobi
北海道大学工学研究科 修士課程修了。 専門は複雑系における物理現象。 大学卒業後は商社でネットワークエンジニアとして働いていました。 4年で退職し、教員免許を取得。 公立高校・私立高校の教員を経て、現在は関西で予備校講師をしています。