三角関数

三角関数の方程式(3倍角・和積公式の利用)

三角関数の方程式について、2種類の解き方で解いてみましょう。

問題

三角関数の方程式

$0<x≦\pi$ とする。

$\sin3x+\sin x=\cos x$

を満たす$x$ の値をすべて求めよ。

3倍角の公式の利用

3倍角の公式で変換し、因数分解すれば解けます。

方程式を解くためには因数分解」という原則にのっとって解くだけです。

$\sin3x+\sin x=\cos x$ を3倍角の公式で変形して、

$3\sin x-4\sin^{3}x+\sin x=\cos x$

$4\sin x-4\sin^{3}x-\cos x=0$

$4\sin x(1-\sin^{2}x)-\cos x=0$

因数分解が目標ですよね。共通因数は見つかりますか?
$(1-\sin^{2}x)$ の中に $\cos x$ が隠れていますね!
$1-\sin^{2}x=\cos^2 x$ ですからね。

計算を続けると

$4\sin x\cos^{2}x-\cos x=0$

$\cos x(4\sin x\cos x-1)=0$

2倍角の公式から

$\cos x(2\sin2x-1)=0$

すなわち $\cos x=0$ または $\sin2x=\dfrac{1}{2}$

ここで $0<2x≦2\pi$ であるから

$x=\dfrac{\pi}{12},\dfrac{5}{12}\pi,\dfrac{\pi}{2}$ …(解答終り)

和積公式の利用

同じ問題を別の方法で解いてみましょう。

方程式を解くためには因数分解」という原則の変化形です。

因数分解とは「積の形にする」ことですから、和積公式でも同じ効果が期待できるのです。

和積公式は暗記に向かないので、そのつど作りましょう。

$\sin3x+\sin x=\cos x$ を和積公式で変形して、

$2\sin2x\cos x=\cos x$

$\cos x(2\sin2x-1)=0$

すなわち $\cos x=0$ または $\sin2x=\dfrac{1}{2}$

ここで $0<2x≦2\pi$ であるから

$x=\dfrac{\pi}{12},\dfrac{5}{12}\pi,\dfrac{\pi}{2}$ …(解答終り)

いちいち公式を作るのが面倒ですね。3倍角で解けるのに、和積公式は必要ですか…?
…ならば、次の問題に挑戦してもらいましょうか…
えっ…(言わなきゃよかった…)

三角関数の方程式(和積公式の利用)へ続く

ABOUT ME
e-yobi
北海道大学工学研究科 修士課程修了。 専門は複雑系における物理現象。 大学卒業後は商社でネットワークエンジニアとして働いていました。 4年で退職し、教員免許を取得。 公立高校・私立高校の教員を経て、現在は関西で予備校講師をしています。