和積公式を使わないと解くのが難しい問題を扱ってみましょう。
問題
$\sin x+\sin2x+\sin3x+\sin4x=0 (0≦x≦\pi)$
和積公式が効果を発揮する問題です。
$\sin4x+\sin x$+$\sin3x+\sin2x$$=0$
と組み合わせを工夫するのがポイントです。
和積公式の利用
和積公式を使って、
$\sin4x+\sin x=2\sin\dfrac{4x+x}{2}\cos\dfrac{4x-x}{2}=2\sin\dfrac{5}{2}x\cos\dfrac{3}{2}x$
$\sin3x+\sin2x=2\sin\dfrac{3x+2x}{2}\cos\dfrac{3x-2x}{2}=2\sin\dfrac{5}{2}x\cos\dfrac{x}{2}$
なので、与式は
$2\sin\dfrac{5}{2}x\cos\dfrac{3}{2}x+2\sin\dfrac{5}{2}x\cos\dfrac{x}{2}=0$
となります。
それだと $2\sin\dfrac{5}{2}x\cos\left(-\dfrac{3}{2}x\right)$ となって中身の符号がマイナスになってしまいますからね。
まあ、$\cos(-x)=\cos x$ なので同じことなんですが。
共通因数をくくる
$2\sin\dfrac{5}{2}x\left(\cos\dfrac{3}{2}x+\cos\dfrac{x}{2}\right)=0$
すなわち、$\sin\dfrac{5}{2}x=0$ または $\cos\dfrac{3}{2}x+\cos\dfrac{x}{2}=0$ となりました。
$0≦x≦\pi$ の範囲では $0≦\dfrac{5}{2}x≦\dfrac{5}{2}\pi$ なので、
$\sin\dfrac{5}{2}x=0$ となるのは
$\dfrac{5}{2}x=0,\pi,2\pi$ のとき。
つまり $x=0,\dfrac{2}{5}\pi,\dfrac{4}{5}\pi$
3倍角の公式の利用
あとは $\cos\dfrac{3}{2}x+\cos\dfrac{x}{2}=0$ を解きましょう。
さらに和積公式を使ってもいいですが、ここでは3倍角の公式を使って解きましょうか。
3倍角の公式より
$\cos\dfrac{3}{2}x=4\cos^{3}\dfrac{x}{2}-3\cos\dfrac{x}{2}$
なので、
$4\cos^{3}\dfrac{x}{2}-3\cos\dfrac{x}{2}+\cos\dfrac{x}{2}=0$
$4\cos^{3}\dfrac{x}{2}-2\cos\dfrac{x}{2}=0$
$2\cos\dfrac{x}{2}\left(2\cos^{2}\dfrac{x}{2}-1\right)=0$
$\cos\dfrac{x}{2}=0,\pm\dfrac{1}{\sqrt{2}}$
$0≦x≦\pi$ の範囲では
$0≦\dfrac{x}{2}≦\dfrac{\pi}{2}$ なので
$\dfrac{x}{2}=\dfrac{\pi}{2},\dfrac{\pi}{4}$
つまり
$x=\pi,\dfrac{\pi}{2}$
まとめ
以上をまとめて、
$x=0,\dfrac{2}{5}\pi,\dfrac{\pi}{2},\dfrac{4}{5}\pi,\pi$ …解答終わり
いろんなテクがいる…
倍角の公式を利用すると?
気になるならやってみるといいですよ。 $\sin x\cos x\left(4\cos^{2}x+2\cos x-1\right)=0$ と因数分解はできるのですが、
$\cos x=\dfrac{-1\pm\sqrt{5}}{4}$ となる角が求まりません。
(これをさらに掘り下げたい人は、『$\cos\dfrac{\pi}{5}$ の値を求める』を参照してください。$5x=2\pi$ より $3x=2\pi-2x$ からスタートすれば同じ式が得られるはずです。上級者向け。)