三角関数

三角関数の不等式(合成の利用)

問題

$0≦ \theta<2\pi$とする。不等式

$$\sin\theta\cos\theta-\sin^{2}\theta<-\frac{1}{2}$$

を解け。

方針

何からどう始めたらいいか、全然わかりません…

三角関数の不等式を解こうとするとき目指すのは、次のようなものです。

三角関数の不等式で目指すもの

1.因数分解

2.合成

3.和積公式による変形

これらを順に考えていけばいいですね。

因数分解なら、左辺を $\sin\theta$ でくくりたくなりますが…

それは全然ダメです。

右辺が0でないと、積の形にするメリットがありません。

右辺が0だから、「積のうちどちらかは0」という絞り込みができるのです。

えっ…じゃあ次は合成…ですけど、合成も無理ですよね。
なぜですか?
合成が使えるのは、どちらも1次で角がそろっている場合なので…

お、それを覚えているのは素晴らしいです。

この場合は、一見すると条件を満たしていなそうですが、ちょっとの変形で合成できるようになりますよ。

例えば1番目の項は1次に変形できませんか?

あ、2倍角の公式を使えば $\sin \theta\cos \theta$ は1次にできますね。

$$\sin2\theta=2\sin\theta\cos\theta$$

より

$$\sin \theta\cos \theta=\frac{1}{2}\sin2\theta$$

いいですね。後半も同じ考え方でいけますよ。2乗を1乗に変換する公式を使います。

どの公式ですか…?

$\cos$ の2倍角の公式を変形して作るあの公式です。

そうか、半角公式ですね!

解答

$\sin\theta\cos\theta-\sin^{2}\theta<-\frac{1}{2}$

を変形していきましょう。

2倍角の公式

$$\sin \theta\cos \theta=\frac{1}{2}\sin2\theta$$

と半角公式

$$\cos^{2}\theta=\dfrac{1+\cos2\theta}{2}$$

を使って、不等式は

$$\frac{1}{2}\sin2\theta-\frac{1-\cos2\theta}{2} <-\frac{1}{2}$$

$$\sin2\theta+\cos2\theta <0$$

$$\sin\left(2\theta+\frac{\pi}{4}\right) <0$$

と変形できる。

\(2\theta+\dfrac{\pi}{4}\)の取りうる値の範囲に気を付けて、単位円から角の範囲を求めてください。

ここから三角関数の不等式は解けますね?

単位円を考えて…

$<0$」だから下側の範囲を求めればいいですね!

$$\frac{\pi}{4}≦ 2\theta+\frac{\pi}{4}<4\pi+\frac{\pi}{4}$$

だから、求める $\theta$ の範囲は

$$\pi<2\theta+\frac{\pi}{4}<2\pi , 3\pi<2\theta+\frac{\pi}{4}<4\pi$$

すなわち

$$\frac{3}{8}\pi<\theta<\frac{7}{8}\pi , \frac{11}{8}\pi<\theta<\frac{15}{8}\pi$$

(解答おわり)

ABOUT ME
e-yobi
北海道大学工学研究科 修士課程修了。 専門は複雑系における物理現象。 大学卒業後は商社でネットワークエンジニアとして働いていました。 4年で退職し、教員免許を取得。 公立高校・私立高校の教員を経て、現在は関西で予備校講師をしています。