解法の選び方
$\dfrac{1}{2}\sin\dfrac{x}{2}+\displaystyle \sum_{k=1}^{n}\left\{ \cos(kx)\sin\dfrac{x}{2}\right\} =\dfrac{1}{2}\sin\left(\boxed{ }\right)x$
例えば、この問題で積和公式を使うとどうして思い付くのか…
ましてその先に和の中抜けが起こるだなんて、想像もできませんでした。
ああ、これは思いつくものではありませんよ。
思い付くのではなく、残るのです。
三角関数の変形
$\dfrac{1}{2}\sin\dfrac{x}{2}+\displaystyle \sum_{k=1}^{n}\left\{ \cos(kx)\sin\dfrac{x}{2}\right\} $
を変形する方法を色々考えてみます。
因数分解
できません。
合成
できません。(→『合成が使えるとき』)
2倍角、3倍角…の公式
この問題の場合、$k$ 倍角の公式を一般的に表す必要があるので無理そうです。
…
……と、他に何かないかと探した結果、残ったのが和積公式、積和公式です。
$\sum$(シグマ)計算
シグマ計算にしても、考えられるのは…
$\sum$(シグマ)公式の利用
累乗ではないので使えません。
等比数列の和の利用
等比数列ではないので使えません。
周期性による場合分け
$\cos\dfrac{k\pi}{3}$ とかなら周期性もありますが、この場合は無理そうです。
…
……
これらが手詰まりとなった以上、もう和の中抜けくらいしか残っていません。
それが出てこなかったとすれば、思いつかなかったのではなく、初めから選択肢として用意されていなかったのです。
簡単な具体例
$2x^2+2x-5=0$
他にも、例えば図形問題で「ここで方べきの定理は思いつかなかった」などと言っている生徒がいますが、それも同じです。選択肢として用意しておいたものの中に、方べきがなかったのです。
まとめ
解法を思い付くかは、いかに解法が整理されているかにかかっています。自分が経験した解法をストックし整理することで、未知の問題への対応方法の選択肢が見えてきます。それを一つ一つ潰していくことが、問題を解くという作業です。
何もないところから総当たりで試していくだけでは解法は見つかりません。解法が適切に取捨選択されストックされていることが思いつく条件です。
ただし、すべての問題が解法のフローチャートで解決するほど簡単でもないことには注意が必要です。近道はありません。あせらずに地道な経験を積んでいってください。